「アメリカの叛乱」 1.06議会襲撃事件を経て過激な右翼運動は少数派から主流派へ(前半)
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2022学生字幕翻訳コンテストの課題4:「連邦議事堂の襲撃」の前半部分です。コンテスト課題は、この後に続く後半部分になります。
2021年1月6日、連邦議会では前年11月に行われた投票でジョー・バイデン候補が現職トランプ大統領を破ったという選挙結果を承認する手続きが進められていました。この時点でトランプ大統領は選挙に不正があったとして敗北を認めておらず、トランプ支持派の右翼過激派や白人至上主義者たちが大挙して連邦議事堂を襲撃し、選挙の無効を訴えて議会承認を妨害しました。暴徒の狼藉は数時間に及び、5人の死者と数百人の負傷者が出ました。
事件から一年が経ちましたが、「アメリカを取り戻せ」というこの運動は今どうなったのでしょうか。PBSのドキュメンタリー番組『フロントライン』(Frontline)が、報道機関『プロパブリカ』(ProPublica)やカリフォルニア大学バークレー校の調査報道プログラムとの共同調査をもとに制作した調査報道ドキュメンタリーAmerican Insurrection(『アメリカの叛乱』)の最新版を基に検証します。
リック・ローリー監督は、あの暴動以来、極右の社会運動がどのように拡大しているかを指摘し、「組織化の場が国政の舞台から地域社会へと移行している。その結果、運動を追跡することがずっと難しくなっており、局所的あるいは地域的な暴力事件が各地で起こる可能性が増大している」と語ります。
ローリー監督と『フロントライン』通信員のA.C.トンプソン記者は、連邦議会に設けられた「1月6日特別調査委員会」の委員長ベニー・トンプソン議員にインタビューし、この事件を「極右による叛乱」と判断する根拠を聞きました。また極右派のあいだに広く浸透している矛盾した思考、すなわち「1月6日の騒乱を引き起こしたのは、トランプ支持者に扮装したアンティファやブラック・ライブズ・マターの運動家だ」と言いながら「選挙結果を覆そうとした人々は愛国者だ」とする主張について論じています。(中野)
•リック・ローリー(Rick Rowley)受賞歴のある映画作家、独立ジャーナリスト。PBSの番組『フロントライン』のドキュメンタリー『アメリカの叛乱』の監督。
字幕翻訳:長沼美香子(前半部分) 監修:中野真紀子