テロ容疑者の罪状なき無期限拘禁は合衆国憲法に違反 国防権限法に差し止め判決

2012/5/17(Thu)
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オバマ大統領が昨年末に署名した2012年度の国防権限法(NDAA)に連邦裁判所が違憲の判断を下しました。米国大統領に、テロ組織に関係していると疑われる人物を適切な裁判手続きを経ずに世界のどこでも逮捕して無期限に拘禁する権限を与える条項が入っているからです。米国市民もその対象ですし、ジャーナリストさえ免除されません。

これに対して民間の学者やジャーナリストから憲法違反ではないかとの訴えが連邦裁判所に出されています。原告団には、ノーム・チョムスキー、ダニエル・エルズバーグ、ナオミ・ウルフ、コーネル・ウエスト、クリス・ヘッジズら著名な人々も含まれています。

これを受けて連邦裁判所は、問題の条項は合衆国憲法修正第一条(言論の自由)と第五条(適正な法手続きの順守)に抵触する疑いが濃厚だとして差し止め命令を出しました。米国でもめったに見られない画期的な判決でした。番組では原告団の弁護士とクリス・ヘッジズを招いて、そのいきさつを聞きます。

議会でも共和党、民主党の双方にこの条項に反対を表明する議員も多く、現在審議中の2013年度の法案には、米国市民を罪状無しで無期限に拘束することを禁止する条項を盛り込もうという動きもあります。上下院の法案の摺り合わせのため、最終案にこれが残るかどうかは疑問ですが、近日中には結果が出そうです。(中野真紀子)

*クリス・ヘッジズ(Chris Hedges) ネイション・インスティテュートの上級フェロー、元ニューヨーク・タイムズ海外特派員で、2002年にグローバル・テロリズムを取り上げた報道でピュリツァー賞を団体受賞。He is the author of a number of books, including Death of the Liberal Class (『リベラル階級の死』)やThe World As It Is: Dispatches on the Myth of Human Progress(『ありのままの世界:人類の進歩という神話に関する特報』)をはじめ著書多。国防権限(国防授権)法の合憲性を問う訴訟の原告団の一人.
ブルース・アフラン(Bruce Afran) 国防権限法の合憲性を問う訴訟の原告側弁護団の一人。

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字幕翻訳:山本義行/校正:大竹秀子/全体監修:中野真紀子