ナイジェリアの環境運動家ニモ・バッセイ:先進国は気候問題でアフリカに借りがある

2009/12/8(Tue)
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デンマークのコペンハーゲンで2009年12月7日から18日まで開催された国連気候変動枠組条約会議(COP)には、世界180カ国以上から代表団が参加し、ジャーナリストも含め2万人以上が集まりました。一般の報道が注目したのは、温暖化ガス排出削減目標をめぐる先進諸国と中国など新興工業国のあいだの責任のなすりあいの行方でしたが、大国同士のかけ引きの影にかすんでしまうのが、気候変動により最も被害を受ける弱小の途上国の声です。デモクラシー・ナウ!は2週間にわたる現地取材で、気候変動問題におけるジャスティス(公正な解決)を求める途上国からの声を伝えています。

ナイジェリアの環境活動家ニモ・バッセイ氏から、アフリカの訴えを聞きましょう。ナイジェリアにおけるシェル石油の環境汚染と人権蹂躙に対する抗議運動を20年近く続け、現在は国際環境団体FoE(フレンズ・オブ・ジ・アース)インターナショナルの議長をつとめています。

アフリカは何世紀ものあいだ先進国によって資源を略奪されてきましたが、気候変動の被害がそれに追い打ちをかけます。アフリカは地球温暖化の影響をもっとも受けやすく、他の地域で平均気温が2℃上昇すれば、アフリカでは3℃以上も上昇すると言われます。温暖化との戦いの最前線に立たされ、CO2の排出量は最も少ない地域なのに、もはや温暖化を招くような方法での開発はできず、今後の発展の余地も奪われます。

気候変動の原因をつくったのは先進国なのに、その対応をもっとも深刻に迫られるのはアフリカだというのはおかしい。先進工業国は責任を取るために、アフリカの温暖化への適応を技術移転などで支援する義務があるとバッセイは言います。援助ではなく、賠償なのです。

バッセイ氏はまた、現在オランダで進行中のロイヤルダッチ・シェル社を相手取った環境訴訟についても現状を報告しています。ナイジェリアの現地子会社は、年間300回もの原油流出事故を起こしていますが、汚染は放置されたままで事故の処理もまともになされない状況だと言います。(中野)

ニモ・バッセイ(Nnimmo Bassey)
ナイジェリアの環境保護団体エンバイロンメンタル・ライツ・アクション(環境権行動)の創設者。国際環境団体 FoE(フレンズ・オブ・ジ・アース)インターナショナル代表

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字幕翻訳:桜井まり子
校正・全体監修:中野真紀子・付天斉