新政権に望む環境農業対策 前編

2008/12/16(Tue)
Video No.: 
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17分

前半:オバマ政権の環境対策チーム

オバマ大統領の前向きな環境政策は高く評価されています。新政権の人事が発表されて間もない頃、環境問題に詳しいニューヨークタイムズのレブキン記者と、環境活動家のマッキベン氏が、オバマ政権の環境対策チームについて評定しました。気候変動に対する世界的な取り組みとのからみで、米国の新政権に何が期待できるのでしょう。

レブキン氏は、エネルギー長官に任命されたノーベル物理学賞受賞のスティーブン・チュー氏について、科学と応用の両面に通じており、どうやって民間企業を動かして物事を実現させるかを知っていると、レブキン氏は期待を表明します。

輸入石油への依存度を減らす方策を進めるというオバマ大統領は、振替エネルギーとして原子力の利用も否定してはいません。ただし、「技術的な難点を克服できれば」という条件が付いています。廃棄物の処理や施設の安全性の問題などは今後数年で克服できるものではないし、膨大な建設コストは政府の助成がたよりです。どうやら原発推進はあまり心配ないようです。

同じ頃、ポーランドのボズナンで行なわれた国連気候変動枠組条約第14回会議は、米国が政権移行中ということもあり、CO2削減の数値目標も打ち出せず、たいした進捗はありませんでした。それでも気候変動の被害をまっさきに受ける小さな島国や途上国が強い調子で危機を訴え、気候変動における南北格差の問題が鮮明になったと、会議に出席したマッキベン氏は言います。

2009年12月にコペンハーゲンで開かれる次回の会議こそが正念場であり、今からそれに向けて行動を起こすことが重要だとマッキベン氏は訴えます。この会議に影響を与えるため、若者を中心とした気候変動に関する国際的な市民運動組織 350.orgが、10月24日に国際行動を計画しているそうです。(中野)

★ DVD 2009年度 第1巻 「環境とエネルギー」に収録

アンドリュー・レブキン(Andrew Revkin)
ニューヨークタイムズ紙の科学記者。同紙のウェブサイトに個人ブログ「ドット・アース」を掲載。最新書はThe North Pole Was Here: Puzzles and Perils at the Top of the World. (『かつてはここが北極だった』)。最近、科学記者として初めてジョン・チャンセラー賞を受賞した。

ビル・マッキベン(Bill McKibben)
環境問題専門家。地球温暖化や代替エネルギーについての著作が多い。9作目にあたる新著はDeep Economy: The Wealth of Communities and the Durable Future.(『経済の深層 社会の富と持続可能な未来』)。環境保護キャンペーン350.org の共同設立者

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字幕翻訳:玉川千絵子/校正:関房江
全体監修:中野真紀子・付天斉