「異様に暖かい」冬の北極 科学者たちは気候変動の最悪シナリオ見直しへ

2018/3/1(Thu)
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2018学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「悪化する温暖化シナリオ」の受賞作です

北極圏で異様に温暖な気温が続き、科学者たちに衝撃が広がっています。北極では10月から3月下旬まで太陽がまったく昇らない極夜にもかかわらず、グリーンランド北端の気象観測点で、2018年に入ってから氷点越えが61時間に達する前代未聞の事態になっています。国連の専門家会議による報告書の草稿によれば、科学者たちは1.5から2度の気温上昇で「夏季に北極圏から氷が消滅する危険性は50パーセント以上」としています。

ゲストのデンマーク・グリーンランド地質調査所、ジェイソン・ボックス教授が解説します。北極では低緯度の地域より温暖化が増幅され、地球全体の平均に比べ2倍の早さで気温が上昇しています。その原因として、太陽光を反射していた氷が融けて地表や海面が温まり、いっそう氷の融解が進むという悪循環が挙げられます。また高緯度の北極では温度上昇が地表に近い対流圏に閉じ込められる正の「温度減率フィードバック」(温度上昇の増幅)も関係してきます。さらに地表付近の温度上昇は上空のジェット気流、さらには「極渦」を減速させ、気流が蛇行して南の温かい空気が北へ、逆に北の冷たい空気が中緯度に流れ込んで、世界的な異常気象をもたらす原因となっています。トランプ大統領が温暖化否定論を展開する中、科学者たちはいっそうの危機感を強めています。

*ジョージ・チカリェッリョ=マー(Jason Box): デンマーク・グリーンランド地質調査所の氷河学教授 

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字幕翻訳: 東美優 神戸市外国語大学外国語学研究科 修士2年(2018コンテスト受賞時) 監修:中野真紀子