シリアの状況への対応をめぐって国際的なこう着状態が続く中、同国ではバッシャール・アル=アサド大統領に反対する蜂起が起きて11ヶ月のなかで最悪の部類の暴力が起きています。アサドの軍隊は、反体制派の拠点ホムスに、これまでで最も激しいとみられる攻撃を行いました。米国と英国はシリアの首都ダマスカスにある両国の大使館を閉鎖し、安全の懸念があるとして外国官らを退避させました。危機が拡大する中、ロシアと中国は、シリアでの政治的移行を求める米国とアラブ連盟によって支持された国連安全保障理事会の決議案を拒否したことで、非難にさらされています。中東に関する著名な英国人作家で、『アサド―中東の謀略戦』の著者であるパトリック・シールに、シリアの状況について聞きます。「この危機には、少なくとも二つ、多分三つのレベルがあります。まずシリア国内では、状況は日ごとに悪くなっています」と、シールは言います。「そして、より高いレベルでは、米国とその同盟国の間、および米国と中国やロシアのような反対国の間の争いがあります。そしておそらくこの危機にはイランを懸念しているカタールのような湾岸アラブ諸国やサウジアラビアまでもを巻き込む第三のレベルがあり、これらの国々はイランがアラブ地域のシーア派コミュニティを刺激するかもしれないと思っているのです。」