コロンビア大学の経済学者ジェフリー・サックス氏と、欧米の覇権主義ならびに米国のロシア、ウクライナ、中国における政策について聞きます。サックス教授は最近発表した、"The West's False Narrative About Russia and China (ロシアと中国についての西側の虚偽の説明"という記事で、米国の超党派的な外交政策のアプローチは「説明のつかぬほど危険で、誤った判断」であり、おまけに東アジアでも「またもや新たな戦争のレシピ」を作り出していると警告しています。
【2021/11/23/1】批判的人種理論の教育に右派の攻撃がしかけられる中で、ピュリッツアー賞受賞ジャーナリストのニコル・ハンナ=ジョーンズにロングインタビューを行いました。彼女は、奴隷とされたアフリカ人が最初にバージニア州に到着した年を建国の起点として米国史を再構築する「1619プロジェクト」の生みの親です。このニューヨーク・タイムズ誌のプロジェクトは2019年にスタートし、18本の論考を詩や短編小説とともに収録したアンソロジーへと発展しました。それに対して、いくつもの州が学校カリキュラムから追放しようとしてきました。「私たちは皆、米国人として、このような歴史を敵視する法律について深く懸念すべきです。なぜなら、彼らがやろうとしていることの本質は、私たちの記憶を支配し、自分の国についての理解を支配することだからです」と、ハンナ=ジョーンズは言います。彼女が共同編集した新刊本The 1619 Project:A New Origin Story(『1619プロジェクト~新たな建国物語』)が今月刊行されました。 それと同時に、1619 プロジェクトを子供向けに脚色した Born on the Water(『海で生まれて』)も出版されています。ハンナ=ジョーンズは、自分の目を開かせてくれた恩師たちの役割についても語ります。
【2021/11/18/3】考古学者デビッド・ウェングローは、昨年亡くなった人類学者のデビッド・グレーバーとの共著『すべての始まり ~新しい人類史』を出版したところです。この本は、「西洋思想」の根幹とされる民主主義や平等の観念が、じつは先住民の文化に大きく影響されたものであったことを検証し、それにもかかわらず彼らの貢献は歴史から抹消されてきたと主張しています。ウェングローはまた、「幅広く歴史を検証した結果わかったのは(農耕と都市文明が格差をもたらすとする通説に反して)人口密度が高く高度な技術を持つ大規模社会であっても、必ずしも社会的自由の放棄が要求されるわけではないことです」と言います。二人がこの本を完成させたわずか数週間後、グレーバーは59歳で急逝しました。グレーバーは、"We are the 99%"というキャッチフレーズの創出に一役買ったことで知られています。彼の著書『負債論~貨幣と暴力の5000年』は債務の帳消しを訴えています。