イスラエル

「急進派ジャーナリスト」を自称したI・F・ストーンは、20世紀アメリカを代表する調査報道ジャーナリストでした。学問的ともいえるような緻密で徹底した調査手法でスキャンダルを鋭く暴く独特のスタイルによって、アメリカの報道界に大きな影響を残しました。60年にわたる活動期間を通じて取り上げた問題は、ニューディール政策から、第2次世界大戦、マッカーシズム、冷戦世界大戦、イスラエル=パレスチナ問題、公民権運動、ベトナム戦争と多岐にわたります。 有名な自費出版の個人ジャーナル『週刊I・F・ストーン』を始めることになったきっかけは、マッカーシー時代の言論統制の中で、公的医療保険の導入を阻む医療業界のボスを果敢に批判したためマスコミを追放されたからでした。(50分)
毎年9月のトロント国際映画祭(TIFF)は北米最大の重要な国際映画祭ですが、今年はイスラエルがらみで大荒れでした。今年から始まった「注目都市」の企画で、第1回にイスラエルの中心都市テルアビブが取り上げられたからです。多数のアーティストや作家たちが、これに反対を表明しました。ジェーン・フォンダ、デービッド・バーン、ダニー・グローバー、ハリー・ベラフォンテ、ジュディス・バトラー、スラヴォイ・ジジェク、ケン・ローチら1500人以上が抗議文に署名しています。 このタイミングでテルアビブにスポットをあてるTIFFの決定は、パレスチナ占領を継続するイスラエルの文化戦略への加担だと、彼らは批判します。ガザ地区への攻撃で国際的な評判が堕ちたイスラエルは、イメージ回復を図ってイスラエルの芸術家や俳優や作家を積極的に国外に送り出し、占領や戦争犯罪から目をそらそうとしているからです。抗議文の作成にかかわったナオミ・クラインは「イスラエルのブランドリニューアル」と呼びます。(20分)
イスラエルの攻撃が続くなかで、バラク・オバマは沈黙を通していました。1月22日、就任以来はじめて国務省に出向いたオバマ大統領は、ようやく中東情勢に関する初めての発言を行いました。最初の言葉は、イスラエルの安全を守ることへの強い決意の表明でした。ガザからイスラエル南部に向けて無座別に発射されたロケット弾は非難しても、イスラエルの攻撃に対する非難はありません。ただしパレスチナ人の苦しみには同情を示し、ガザ地区への救援物資の搬入のため封鎖を解除すべきだとも言いました。マサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキー教授に話を聞きます。(26分)
2009年9月、リチャード・ゴールドストーン判事が率いる国連の事実調査使節団が、3週間にわたるガザ攻撃における戦争犯罪について調査結果をまとめました。ゴールドストーン報告書は、イスラエル軍が民間人を故意に標的にしたことは戦争犯罪にあたり、おそらくは人道に対する罪にもなると結論しています。また、ハマス側の違反についても記しています。そして国連安全保障理事会はイスラエルとハマスの双方に対し、この嫌疑に関する徹底した自己調査に3ヶ月以内にとりかかるよう求め、従わない場合には半年以内に国際刑事裁判所に提訴すべきであると勧告しています。イスラエルの政策をきびしく批判してきた政治学者ノーマン・フィンケルスタインに、この報告書の重要性と限界を聞きます(15分)
イスラエルの優良紙『ハアレツ』のコラムニストで、占領下のパレスチナに住み、パレスチナ住民がイスラエルから受ける迫害を伝え続けている数少ないユダヤ人記者アミラ・ハスは、両親ともにホロコーストの生存者です。母のハンナ・レヴィ=ハスは、北部ドイツのベルゲン=ベルゼン強制収容所に収容されていた当時、禁を犯して日記をつけるほど文章表現に長けた人でした。しかし収容所から解放され、イスラエルに移住した後は書かなくなってしまいます。むしろホロコースト後の世界に絶望したのだと娘のアミラは言います。(14分)
イスラエルが禁止されている兵器や実験兵器を使用した疑いが強まっています。国際人権監視団体ヒューマンライツウォッチ (HRW)は、イスラエル軍がガザ攻撃に白リンを使ったことを違法な使用であると非難しています。また最近までガザの病院で緊急医療に携わったノルウェー人医師の証言では、米空軍が開発したDIMEと呼ばれる高密度不活性爆弾が与える被害に酷似した症状を示す重症患者たちが多数みられたそうです。この武器は2006年にイスラエルがレバノンを爆撃した際にもレバノンやガザで使用され、EU委員会で調査を要求する声があがったにもかかわらず、そのままになっていました。白リン弾の使用が違法性を問われるのはどのような場合なのか、DIMEと呼ばれる新兵器とはどんなものか、そして現時点でわかっている事実はなになのかを確認しましょう。(15分)
世界中で抗議の声がまきおこる中、イスラエルはガザ爆撃を続けています。数カ月間におよぶ封鎖によってガザの市民生活を完全に麻痺させた上に加えられたイスラエルの猛攻撃は、1948年以来で最も犠牲者の多い凄惨なものと言われています。攻撃開始3日目でガザ地区の一般市民300人以上が死亡、1400人が負傷しました。 現在の事態について、ガザの現地からガザ市在住のムーサ・エルハッダート氏と、ラファのフィダ・キシュタ氏、西岸地区のラマラからは独立系議員のムスタファ・バルグーティ氏、イスラエルからはテルアビブ在住のハアレツ紙記者ギデオン・レビ氏、米国からはエレクトリック・インティファーダ挙動設立者のアリ・アブニマー氏に話を聞きます。(37分)
 イラクの次はイラン──ブッシュ政権が誕生したときから、イランは攻撃目標の一つに数えられていたと言われ、近くイラン攻撃が断行されるといううわさは、これまでもずっと浮かんでは消えを繰り返してきました。2007年秋にも、イランの核兵器開発疑惑をめぐって政権内で好戦的な発言が目立ちはじめ、ブッシュ大統領は退陣前の置き土産に、強引に開戦に持ち込むのではとの懸念が高まりました。イラン問題に詳しい二人のゲストを迎え、イランと合衆国との関係を、イスラエルというキーファクターを介在させて歴史的に検証しました。 (30分)
 政治学者ノーマン・フィンケルスタインは、イスラエルの政策に対する強烈な批判で米国では異彩をはなっています。2000年に出版した『ホロコースト産業』では、米国のユダヤ系支配層やイスラエルが、ホロコーストという民族の迫害の記憶を利用して、自分たちの利益を増進し、ユダヤ文化の伝統を損なってきたと論じ、痛快な批判を繰り広げました。第二次世界大戦中にスイスの銀行がユダヤ人の資産を着服したとして、ユダヤ系の団体が一斉に騒ぎ立て補償を求めた事件について、あれは何の根拠もないゆすりだったと暴き、アメリカの外では大ベストセラーになりました。デモクラシー・ナウ!にもしばしば登場し、イスラエル支持の論客と鋭い論争を見せていました。 (19分)
イスラエル出身のアラブ人俳優モハメド・バクリ(ムハンマド・バクリー)は、テルアビブ大学で演劇とアラブ文学を学び、舞台俳優としてイスラエルとパレスチナで活躍し、また国内外の映画に多数出演し国際的にも知られています。彼が出演した1984年の映画"Beyond the Walls" (『壁を越えて』)は米国アカデミー賞の外国映画部門にノミネートされ、イスラエルを代表的する演劇人の一人として名声を築きました。しかし2002年、イスラエル軍がパレスチナ難民キャンプを軍事攻撃した直後、現地に入りって人々の証言を記録したドキュメンタリー映画『ジェニン・ジェニン』を制作すると、イスラエルのマスコミから猛烈なバッシングを受け、映画は国内で上映を禁止され、俳優の仕事も干されてしまいました。(19分)