ベルリン・ペイシェント:史上初めてHIV感染が「治癒」した男性

2012/7/27(Fri)
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研究者たちがHIV/AIDSの治癒の可能性を求める中、ここでは医学界で「ベルリン・ペイシェント(ベルリンの患者)」として知られるティモシー・レイ・ブラウンの驚くべき話に目を向けましょう。彼は世界で初めてHIV感染から治癒した人物だと考えられています。「HIV感染がわかったのは1995年でした。死ぬほど怖かった。というのもあの当時はエイズは死の病気だったからです。それに抗エイズ薬はAZTしかなかった時代でしたから」とブラウンは振り返ります。10年後、彼は白血病も発症していると診断されました。当時ベルリンに住んでいたブラウンはゲロ・ヒュッターというドイツ人医師にかかり、その医師がHIVと白血病の両方を治すための実験的な治療法を考案したのです。この方法が功を奏し、ブラウンはエイズ発見後30年以上の歴史の中で初めて治癒した人物になりました。ブラウンの事例は治療法を探す世界中の研究者を鼓舞しています。「問題は、『治癒』という単語が長い間エイズコミュニティの多くの人々にとって口にしてはいけない四文字言葉であるということです。これまで、結局実際のところはうまく行かなかった希望というのが続いてきましたからね」とエイズ研究者のジェフリー・ローレンス博士は言います。ブラウンはすべての人のためのエイズ治療法を探すための財団を立ち上げたところです。「これは多くのHIV感染者とその家族に希望をもたらすものだと信じています。私にとってもこれはとても重要なことです」とブラウンは話しています。

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