メキシコに追放される移民の子供たち
推定1200万人にも達する米国の無届移民。その大半はメキシコ国境を渡ってやってきた人々です。不法滞在者への取り締まりは厳しく、2005年の不法移民取締法は無届移民を重罪犯として扱い、支援者まで罪に問うものですし、民主党のオバマ政権になっても不法滞在者の摘発と強制退去の件数は過去最高になっています。州レベルの取り締まりも強化されており、2010年のアリゾナ州の不法移民法は人権侵害の疑いもあるとして連邦裁判所が違憲判決を下したほどです。
そうした中でテキサスオブザーバー誌に掲載された調査報道記事"Children of the Exodus”(大量移送される子供たち)は、米国の現在の移民法によって引き起こされる二次的な被害に光をあてました。毎年数万人もの子供たちが親族から引き離され、同伴者もなしにメキシコ国境の向こうに追放されます。そうした子供たちの多くは米国との国境に近いメキシコの都市の街頭に置き去りにされ、麻薬と暴力が猛威を振るう荒廃した土地でシェルターに収容されることになります。 合衆国の家族に会いたくて密入国を繰り返す者も多いといいます。(中野真紀子)
*メリッサ・デルボスケ(Melissa Del Bosque) テキサスオブザーバー誌の調査報道記者。"Children of the Exodus: What becomes of kids who are deported without their families?"(「大量移送される子供たち」)のリンクは→http://www.texasobserver.org/cover-story/children-of-the-exodus
*ラウル・グリハルバ(Rep. Raul Grijalva(D - Arizona)) アリゾナ選出民主党下院議員。
字幕翻訳:川上奈緒子/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗