50年ぶりの米大統領プエルトリコ訪問
オバマ大統領は2011年6月、ジョン・F・ケネディ大統領以来、現職大統領としては50年ぶりにプエルトリコを公式訪問しました。2012年大統領選での本土ヒスパニック系住民からの支持を得るためとみられます。Harvest of Empire: A History of Latinos in America(『帝国の収穫:米国のラティーノの歴史』)の著者でプエルトリコ出身のフアン・ゴンザレスに聞きます。
プエルトリコは、1898年の米西戦争でスペイン植民地から米国領となり、1952年に自治領(自由連合州)となりました。広島県とほぼ同じ広さで人口約400万人、米国領になってから約200万人が本土に移住したと言われています。米軍の射爆演習場に使われていたビエケスはプエルトリコの島です。
プエルトリコの地位について米国政府はクリントン政権以降、プエルトリコの地位に関する特別調査委員会を召集し報告書を2年ごとに発表しています。それによると、プエルトリコ人はプエルトリコの地位を選べるとあり、最初に独立か米国領かを選び、米国領を選んだ時はその形態(自治領、州)を選ぶとしています。これに対しゴンザレスは、重要なのはプエルトリコ人とは米国人とは別の国民/民族(ネイション)であるかを議論することだと言います。プエルトリコ人は米国とは別の国民なのか、共通の言語や文化や領土をもつ国民の定義を満たすのかと。別の国民とみなされれば主権の問題に対処する必要が出てきます。 主権の問題を米国はずっと棚上げしてきたのだと言います。
自治領のプエルトリコ人には米国の参政権はありません。プエルトリコでは、アラワク先住民は絶滅し、スペイン系白人、奴隷として来た黒人など人種や文化の混合が進みましたが、プエルトリコに住む人々には「米国人」としてのアイデンティティはあるのでしょうか。(桜井まり子)
*フアン・ゴンザレス(uan Gonzalez) デモクラシー・ナウ!の共同司会者、ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙のコラムニストHarvest of Empire: A History of Latinos in America(『帝国の収穫:米国のラティーノの歴史)の改訂版が5月に出版された。
字幕翻訳:川上奈緒子/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗