あなたもISPになれる デジタル格差を埋める非営利プロバイダ創始の手引き

2009/4/8(Wed)
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連邦通信委員会(FCC)は4月8日、米国の全家庭に高速インターネット回線を普及させる全米ブロードバンド計画に着手しました。72億ドルの景気対策予算がブロードバンド推進にあてられ、特に地域社会を基盤とする団体が助成対象となります。非営利団体や地方自治体州政府が優先されます。これは住民型ワイアレス・プロバイダの創設に絶好の機会だと、ノースカロライナの非営利プロバイダMA INの理事長のウォリー・ボウエン氏は言います。MAINは情報格差を是正する運動の一環として、山岳地帯の住民にインターネットサービスを提供するために設立されました。

新しいジャーナリズムの住民のためのメディアのあり方を模索する人たちがぶつかる大きな問題は、番組配信の根幹にあたるネットワークそのものを大手の通信事業者やケーブル事業者が押さえており、ネットサービスを彼らが提供することです。AT&Tによるパブリックアクセスの差別待遇に見られるように、ネットワーク所有者が公共チャンネルを尊重するとは限りません。おまけに、これらは全国展開の巨大企業なので、デジタルサービスの利用に支払われる料金は地域社会には還流されず、ウォール街の投資家を潤わすだけです。

このデジタル支出の一部を捕えて地域社会に戻し、住民メディアを支援しようというのが、地元奉仕型の非営利プロバイダの発想です。プロバイダ収入を、非営利番組の取材や制作の費用に充てることも可能です。
パブリックアクセスが逆風にさらされる中、住民メディアには収入源が必要です。今回の72億ドルのブロードバンド景気対策は、この夢を実現させるための一生に一度の歴史的なチャンスだと、ボウエンは熱弁します。この機会を逃さないよう、全国の非営利地域メディアに役立ててもらうため「自前ブロードバンドISPの創設マニュアル」も掲載しています。日本でもホワイトスペース解放が決定するなか、とても興味深い提案です。(中野)

ウォリー・ボウエン(Wally Bowen)ノースカロライナ州西部アッシュビルにある非営利インターネットプロバイダ、マウンテンエリア・インフォメーション・ネットワーク(山岳地情報ネットワーク MAIN)理事長 低出力FM放送局WPVM.の創出者でもある。自前ブロードバンドISP創設の手引きはここ(英語)→
Local Network Cookbook: A Recipe for Launching a Local Broadband Wireless Network

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字幕翻訳:佐藤生実 校正・全体監修:中野真紀子