チャベス大統領の改憲案 国民投票で否決
アメリカのブッシュ大統領の圧力に負けず、中南米で左派勢力を広げる中心的役割を果たしてきたチャベス・ベネズエラ大統領。大統領の連続再選は1回までとしている現憲法に対し、任期の制限を撤廃する内容を含んだ改憲案を出していましたが、昨年12月の国民投票で、僅差で否決されました。チャベス大統領はこの敗北を受け、2012年に退陣すると発表しました。
69項目にわたる憲法改正案には、他にも、共同体による所有制度や、労働時間の短縮などの項目が含まれていました。
ベネズエラ下院の元経済担当官ロドリゲス氏は、「チャベス政権は、今回投票した国民の過半数が、チャベス政権の提案に反対したことを認めるべき」と、厳しくコメント。
それに対してウエブサイトvenezuelanalysis.com の編集者グレゴリー・ウィルパート氏は、「敗北を受け入れたことで、チャベス氏は以前より民主的な大統領として見られるようになった」「国民投票で勝っていたら、野党の社会不安定化工作や反対派の暴力デモで、政権は困難に陥っていたかもしれない。今のほうが、かえって落ち着いて改革を進める絶好の機会」とコメントしています。 (古山)
*グレゴリー・ウィルパート(Gregory Wilpert) ウエブサイトvenezuelanalysis.com の編集者。著書に『Changing Venezuela by Taking Power: The History and Policies of the Chavez Government. (ベネズエラを変えた大統領:チャベス政権の歴史と政策』がある
*フランシスコ・ロドリゲス(Francisco Rodríguez) 米国コネチカット州のウェスリアン大学にて、経済学・中南米学の准教授。2000年から2004年まで、ベネズエラ下院の経済担当官を務めた。
字幕翻訳:斉木裕明 / 全体監修:古山葉子