「アフガニスタンで最も勇気ある女性」マラライ・ジョヤ 軍閥支配のアフガニスタン政府と米軍駐留を非難する
2001年9月11日の同時多発テロ事件の報復として、2001年10月から空爆されたアフガニスタン。米国率いる連合軍は、タリバン政権を崩壊させてハーミド・カルザイを大統領に据え、民主主義と女性の人権尊重を進めている、とされています。 しかし、アフガニスタンで最もはっきりと意見を表明する女性議員マラライ・ジョヤは、大きな声で異論を唱えます。このセグメントでは、政府を堂々と批判して、国会議員の資格を任期満了時まで剥奪されてしまった彼女の主張を紹介しています。
カルザイ政権には、世に知れた北部同盟の犯罪者たちも名を連ねています。国際法廷で裁かれるべきだと人権団体に名指しされているほどの殺害者たちが、国会議員、大臣、大使の座を占めている状態を、ジョヤは批判したのです。
ジョヤはまず、2003年にできた憲法制定議会(ロヤ・ジルガ)で、「国に惨状をもたらした軍閥をなぜ議会に入れるのか。アフガン人はともかく、歴史は彼らを許さない」と発言して、憲法制定議会を追放されました。その後の議会選挙では、地元での得票率2位で当選。にもかかわらず、「議員の70%以上が、軍閥や麻薬王や犯罪者だ」との発言で、再び議会を追放されてしまったのです。「民主的に選ばれた議員もいるが、原理主義者の多くは、不正行為や武力や権力や外国の支持によって選ばれた。この国の現状で、民主的な選挙など無理」と嘆きます。また、「民主主義を装っている人たちが女性の権利を唱えているだけ」と、現政権下での性暴力のひどさも訴えています。
外国で、アフガニスタン議会の惨状を訴えて回っている彼女は、命の危険にもかかわらず、アフガンに戻ることを恐れません。議会で性暴力の脅迫を受けることさえあった彼女ですが、「国の外だけでなく、中でも闘いたい。権力もお金もなく苦しむ人々が、勇気と意志をくれます」ときっぱり言い切って、勇気ある発言を続けています。 )(古山)
*マラライ・ジョヤ (Malalai Joya) 資格を剥奪されているアフガニスタンの国会議員。イギリスBBC放送が「アフガニスタンで最も勇気ある女性」と呼んでいる。
翻訳字幕:永井愛弓
全体監修:古山葉子