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2012年3月2日(金)

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  • オバマ大統領が進める医療保険政策では避妊医療も医療保険の適用対象として雇用主の負担となりますが、雇用主が宗教団体の場合はすでに免除されています。これを大幅に拡大して、雇用主が個人の信念に従って避妊医療に関する保険料負担を拒否することのできる除外項目を設けようとした法案が、上院で僅差で否決されました。共和党のロイ・ブラント上院議員(ミズーリ州選出)が上程したいわゆるブラント修正法案は、米国の雇用主に宗教あるいは道徳的見地から避妊医療への医療保険適用を拒否する権利を与えるものでした。しかし同修正案は、ほぼ民主・共和両党の議員数に沿った51対48という僅差で否決されました。「ブラント修正案の否決で驚きなのは、99対1ではなかったことです」と語るのは全米女性機構(National Organization for Women)代表のテリー・オニールです。「避妊処置を制限して何の咎めも受けずに済むと政治家たちが本気で思っていることに愕然とします」。リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する女性の自己決定権)に関しては別のニュースもあります。バージニア州では人工中絶を求める女性に超音波検査を義務づける法案が最終段階に達し、議会の承認を得て、知事の署名さえあれば成立というところに来ています。「医療に関わって20年になりますが、政府という医療分野に専門的な経験を持たないところから、特定の検査をしろだとか患者に特定の医療情報を知らせろなどと強制されるようなことは、この分野のほかにはありません」と、「生殖の選択権と健康のための医師団」の理事で中絶医療も施しているウィリー・パーカー医師は言います。

  • 米国下院ではリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する自己決定権)をめぐる討議が激しくなり、上院では共和党が「女性に対する暴力法」(VAWA)の再延長を妨げようとしています。家庭内暴力の根絶を呼びかける世界的運動V-DAYキャンペーンの創設者で『ヴァギナ・モノローグ』の作者でもある劇作家イヴ・エンスラーに話を聞きます。「いまだに父権の観念が粉砕されず、父親が女性や子供に権威をふるい、私たちの人生や、私たちの未来や私たちの身体に関する権利を決定するという考えがはびこっています」とエンスラーは言います。「女性を解放するということは男性を解放することであり、すべての人間が美と威厳のある生き方ができて不安や恐怖の中を歩まずに済むということなのです。もし本当にそうしたいなら私たちはもっと踏み込んで、破壊的で危険な存在にならなくてはならないのです」。エンスラーは新しい世界キャンペーンを始めたばかり。その名も「10億人が立ち上がる」(One Billion Rising)。この運動は女性たちおよび「女性を慈しむ男性たち」に2013年2月14日、ともに集まって「暴力の止む時までダンスをしよう」と呼びかけるものです。エンスラーにはもう1つ、コンゴ民主共和国でのジェンダー暴力を生き延びた被害者女性たちの画期的な新コミュニティ「喜びの街」の創設1周年についても話してもらいます。

  • 米国テレビ界でのパイオニア、ドン・コーネリアスが75歳で亡くなったのは2月のことでした。「ソウル・トレイン」の司会者だった彼は、多くの追悼の中で「アフリカ系アメリカ人のディック・クラークだ」と形容されました。ディック・クラークとは1956年から89年まで続いた人気番組「アメリカン・バンドスタンド」の伝説的司会者の名前です。ハリウッドに移る前はウエスト・フィラデルフィアで作られていたこの番組を、クラークは「人種的な垣根を取り除いた最初の全国放送番組の1つ」と主張していました。しかしこのように語られる歴史に疑義を挟み、この番組が初期には黒人の若者たちを排斥していたという新事実を明らかにした本がこのほど出版されました。The Nicest Kids in Town: American Bandstand, Rock 'n' Roll, and the Struggle for Civil Rights in 1950s Philadelphia(『街でお気に入りの子:アメリカン・バンドスタンドとロックンロールと1950年代フィラデルフィアにおける公民権運動』)の著者マシュー・デルモントは、「これは北部における公民権と隔離政策の物語です」と言います。「『黒人お断り』という公式方針があったわけではないのですが……実に老獪な手くだを使って十代の黒人たちを番組に登場させないようにしていました」。

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