2009年第4巻(通巻14) 海外に広がる米軍基地

2009年度第4巻のテーマは、世界で700カ所もあるという米軍基地。基地が引き起こすさまざまな問題と各地の反対運動を取り上げました。国境を超えた連帯の動きに注目!

☆付録の対訳小冊子は、太平洋の島々の活動家たちから話を聞く「沖縄からグアム、ハワイへ」です。それぞれの動画の詳細は、画面をクリック

 
 
 

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  沖縄の普天間基地の移転先をめぐって、県内、県外、国外という選択肢が議論されています。国外というのは、太平洋の島グアムです。沖縄から8千人の海兵隊とその家族が移転する計画のこの島では、いったい何が起こっているのでしょうか? グアム先住民ジュリアン・アグオン弁護士は、島の人口の2割以上にあたる軍関係者の大量流入は先住民の生活を大きく圧迫し、取り返しのつかない打撃を与えると言います。グアムは1898年の米西戦争によって米国が獲得した戦利品です。現在、世界に16だけ残っている国連認定の非自治地域、つまり言葉を変えた植民地です。住民は米国市民でありながら、連邦の一員とはみなされず、大統領選挙に投票できず、連邦議会に送った代表に投票権はありません。彼らが選ぶことのできない連邦政府が、先住民の土地を賠償もせずに接収して基地を作ったのです。(2009年10月9日放送)

ジュリアン・アグオン(Julian Aguon)  グアム先住民の活動家グループ「チャモル・ネーション」の公民権弁護士


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太平洋の島々は、沖縄も含め文化や経済の共通性をもち、歴史的なつながりも強く、20世紀には日米の戦いの戦場となり多くの犠牲者を出しました。現在もその歴史の延長上にあり、同じ民族が政治的な地位の違いで分断されていたりします。グアムは米国の直轄領ですが、マリアナ諸島の他の島々は自治領(コモンウェルス)です。程度の差はあれ米国への依存関係があり、米軍基地の存在による受益者と被害者がいます。テニアンがグアムに代わって基地の受け入れを表明しているように、基地に関わる利権から互いに競合する関係にもなります。ハワイのオアフ島にはアメリカ太平洋軍の司令部があります。巨大なタコのように、ハワイから伸びた触手が沖縄やグアムやフィリピンや韓国を締め付けており、それぞれのタコの足を切っても、また生えてきます。タコの頭を抑えないかぎり、個別に基地を追い出しても、いずれまた戻ってきます。そのためには各地で基地に反対する人々が手をつなぎ、協力して戦う必要があります。(2010年5月24日放送)

キール・カジヒロ (Kyle Kajihiro)  ハワイのアメリカ・フレンズ奉仕団専務理事。反基地闘争ネットワークDMZ-Hawai'i / Aloha'Ainaを推進している。 秋林こずえ 日本の研究者、活動家、婦人国際平和自由連盟のメンバー マーヴィン・ウォンパット=ボルハ(Melvin Won Pat-Borja) グアムの教育者、詩人。グアムの反基地運動争ネットワーク"We Are Guahan " のメンバー


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もう一つの基地の島ディエゴガルシア。アフリカとアジアの中間に位置する重要な米軍の戦略拠点であり、アフガニスタンやイラクの爆撃基地として、またCIA によるテロ容疑者拉致監禁の拠点としても重要な役割を担っています。この島に住民はいません。40年前こ基地を建てたとき、島民はひとり残らず追放されたからです。静かで平和なサンゴ礁の島が、いったいどうして世界最大級の米軍基地になってしまったのでしょう?40年前に起こったイギリスによる恥ずべき窃盗の歴史を、ドキュメンタリー作家のジョン・ピルジャーが掘り起こします。(2007年6月7日放送)

ジョン・ピルジャー(John Pilger)  世界各地の紛争の報道で高く評価され、ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーを2度受賞。『世界の新しい支配者たち』など著書多数。


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1980年代末に共産党独裁体制が瓦解しNATO傘下に入ったチェコは、アメリカが世界各地で推進するミサイル防衛システムのレーダー基地を受け入れる計画に揺れています。「ノンバイオレンス・チェコ」という非暴力直接行動主義の運動が、ミサイル基地建設反対のオンライン署名を世界に向けて募っています。リーダーのヤン・タマスはアメリカ各地を回り、グローバルな軍需産業に対抗するグローバルな平和運動を訴えています。一方ディエゴガルシア島を追放された島民たちは、自分たちを強制移住させた英国政府に対し、島への帰還の権利を求める訴訟を起こして闘っています。チャゴス難民グループの指導者オリビエ・バンクールから住民の訴えを聞きましょう。(2008年4月18日放送)

ヤン・タマス(Jan Tamas) チェコ共和国の活動家。東ヨーロッパに配備される予定の米ミサイルシステムに反対する連合体「ノー・ベイシス・イニシアティブ」創始者 オリビエ・バンクール(Olivier Bancoult) 米軍基地の島ディエゴガルシアの出身。4歳のとき故郷を追われ、現在はチャゴス難民グループに所属


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第二次大戦の敗戦国ドイツには世界のどの国よりも多くの在外米軍基地があります。東西冷戦の終結で大幅に減少したとはいえ(90年代初めに比べ7割近く減少)、今でも7万人近くの米兵が駐留しています。欧州地域を管轄する米統合軍司令部(EUCOM)に加え、最近出来たアフリカ統合軍司令部(AFRICOM)もドイツに置かれています。ドイツの基地からはイランやアフガニスタンに兵士が送り出されます。日本でもベトナム戦争中に起こったように、戦地への赴任を拒みドイツで亡命申請をした米兵を、ドイツ人の支援団体が支えています。基地の存在をめぐってドイツではどのような議論が行なわれているのでしょう?(2008年12月12日放送)

エルザ・ラスバッハ(Elsa Rassbach) ドイツ在住の米国人で、反戦・反基地活動家。「反在外米軍プロジェクト」(American Voices Abroad Military Project)会員


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ヨーロッパで開かれたG20金融会議とNATOサミットでは、大規模な抗議行動が起こりました。大西洋の向こう側では、どんな動きがあるのでしょう?NATO60周年サミットの開催地では、欧米20カ国以上から数千人が集まり抗議デモを計画しています。彼らの要求は、さし当たってはアフガニスタンからの即時撤退ですが、より根本的なところではNATOの解散です。NATOは欧米資本主義の利益を世界中で守る帝国主義の軍隊だ、今回のサミットで議論される新戦略は世界的な軍事介入の機構へとNATOを発展させるものだと、抗議運動の組織者は語ります。(2009年4月2日放送)

トニー・ベン(Tony Benn) 英国議会の長老の1人。国会議員を半世紀以上もつとめ、議員引退後は「ストップ・ザ・ウォー」連合の代表となった アンドレアス・スペック(Andreas Speck) 戦争抵抗者インターナショナル会員


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基地には前線に送られる兵士たちがいます。人を殺す訓練を受け、戦場の地獄を見てきた彼らが、基地周辺の民間社会と上手に共存できるのでしょうか。コロラド州の新聞が、殺人の訓練を受けた兵士が普通の生活に戻ることの難しさを検証する衝撃の記事を掲載しました。イラクで最も凄惨な戦いに参加し、「殺傷兵器」と異名をとる歩兵連隊は、帰還兵の多くが乱闘、殴打、レイプ、飲酒運転、麻薬取引、家庭内暴力、発砲、刺傷、誘拐、自殺などを引き起こしています。彼らが殺人を犯す確率は、コロラドスプリングス市の平均の114倍にのぼるといいます。(2009年7月30日放送)

デイブ・フィリップス(Dave Philipps) コロラドスプリングス・ガゼット紙の記者。「戦争の犠牲者」というシリーズ記事を書いた ジミー・キーナン大佐(Col. Jimmie Keenan) コロラドスプリングスにあるエバンズ陸軍病院の司令官