DVD 第2巻(2007年6-7月)

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1.ノーモア・デス 越境難民救援の今と昔 / 2.ジョーン・バエズ 軍病院で歌えず / 3.「明日の思い出」 マイケル・アルバート / 4.モハメド・アリ スポーツ界の政治発言 / 5.消えた石油はどこへ? / 6.平和活動集団「コードピンク」参上! / 7.戦争税なんか払いたくない

☆第2巻付属の小冊子は、「戦争税なんか払いたくない」の字幕を対訳形式にしたものです

 

1.ノーモア・デス 越境難民救援の今と昔 / 2.ジョーン・バエズ 軍病院で歌えず / 3.「明日の思い出」 マイケル・アルバート / 4.モハメド・アリ スポーツ界の政治発言 / 5.消えた石油はどこへ? / 6.平和活動集団「コードピンク」参上! / 7.戦争税なんか払いたくない

☆第2巻付属の小冊子は、「戦争税なんか払いたくない」の字幕を対訳形式にしたものです

   
 

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 メキシコ国境では合衆国で働くために密入国する人々が増加しており、困難な砂漠越えの途中で衰弱し、死に至る事故が後を絶ちません。アメリカ政府はこの惨状を放置し、この人たちの「死」を、許可なく越境することを人々に思いとどまらせる抑止力として使っています。おまけに、こうした非人道的な政策に対抗して移民救助活動をするボランティアさえ、密入国幇助の罪で重く罰しようとしています。多数の移民がおし寄せる背景には、自由貿易体制が生み出す構造的な不平等があるのですが、アメリカ政府はこうした人の流れを、柵を設けて阻止しようとしています。番組の前半では、このような政府の威圧策にも屈せず救援活動を続け、オスカル・ロメロ人権賞を与えられた2人の若いボランティアが、国境の惨状を報告します。この2人が所属する救援活動団体「ノーモア・デス」は、長老派教会のジョン・ファイフ牧師が2002年に始めた「サマリタン・パトロール」を母体としています。ファイフ師は80年代中ごろにも、国境に滞留した大勢の難民たちを保護する「サンクチュアリ(避難所)」運動を始め、全米の教会やシナゴーグにネットワークを広げたため、当局ににらまれて密入国幇助で有罪判決を受けたことがあります。彼の体験談を通じて、国境で繰り広げられる生死をかけた救済活動の今と昔に、はっきりした一筋の糸が通っているのが見えてきます。(2007年4月23日放送)

ダニエル・ストラウス(Daniel Strauss)とシャンティ・セルズ(Shanti Sellz):アリゾナ=メキシコ国境で生命の危機に瀕した移民に医療援助を与える救援団体「ノー・モア・デス」(No More Deaths)のボランティア。2005年夏、救援活動中に米国境警備隊に捕らえられ、密入国幇助の罪で起訴された。訴えは後に取り下げられ、2007年 4月ロスコ教会のオスカル・ロメロ人権賞を受賞。 ジョン・ファイフ (John Fife) ツーソンのサウスサイド長老派教会の牧師。エルサルバドルやグアテマラから軍事政権による弾圧を逃れ、アメリカ=メキシコ国境を渡ってくる人々を、人道的見地から教会に匿い、難民として保護を与えるサンクチュアリ運動を創始した。


 フォーク歌手ジョーン・バエズは反戦活動家としても有名です。特に60年代から70年代にかけてのベトナム反戦運動で精力的に活躍し、日本でもよく知られています。その後もずっと現役シンガーとして活動し続けていますが、そんな彼女に最近降りかかった出来事。今年4月末バエズは、ウォルター・リード陸軍医療センターで歌う予定になっていましたが、直前になって取り消されました。軍病院の側から「彼女は、この場所にふさわしくない」とのコメントがあったそうです。この企画はロック歌手ジョン・メレンキャンプからの共演の申し込みを受けたものでした。バエズは、軍隊の慰問ために歌うのは嫌だけど、傷ついて帰還した兵士に対しては、ささやかながら歓迎の気持ちを示したかった、と言っています。帰還兵に対するアメリカ社会の冷たさは、ホームレスの中に戦争体験者が非常に多いことにも表われています。そんな風潮への批判をこめて出演を承諾したバエズですが、皮肉なことに軍の側から「ノーサンキュー」と言われてしまいました。(2007年5月4日放送)

ジョーン・バエズ(Joan Baez) フォーク歌手、反戦活動家。


 資本主義に代わるものは何か?−「パレコン」(ParEcon:参加型経済)を提唱する米国の社会活動家、マイケル・アルバートの登場です。今年発表された回顧録にあわせ、ベトナム反戦を契機に目覚めた学生時代から、教授だったノーム・チョムスキーとの出会い、共同創刊した言論誌『Zマガジン』やウェブ版『Zネット』などでの活動と理想の模索、「公平性・連帯・多様性・自主決定」の4つを価値観の柱とする「参加型経済」の提言に至るまで、根底に一貫するアルバートの思想と、実践の中でそれに形を与えようと奮闘してきた自らの歴史について語ります。(2007年4月17日放送)

マイケル・アルバート(Michael Albert): 米国の社会活動家、『Zマガジン』編集者、著述家。学生活動家としてベトナム反戦に参加、マサチューセッツ工科大学を退学処分となった。77年、出版社 「サウス・エンド・プレス」を仲間と共に創設。その後、87年に雑誌『Zマガジン』を創始し、90年代半ばにウェブサイト『Zネット』を開始する。政治思想家として資本主義に代わる経済社会システム「パレコン(PARECON:Participatory Economy、参加型経済)」を提唱。2007年1月、自身の半生の回顧録Remembering Tomorrow: A Memoir(『明日の思い出』)を発表。1947年生まれ、米国ニューヨーク州出身。


 ボクシング界屈指の偉大なチャンピオン、モハメド・アリの波乱万丈の生涯は、彼が生きた時代の政治との関わりによって、まさに伝説的なものになっています。1960年ローマ・オリンピックでライトヘビー級金メダルを獲得した後、プロに転向したカシアス・クレイは、自分がブラック・ムスリム運動として知られる 「ネイション・オブ・イスラム」のメンバーとなったことを公表し、同組織から与えられたムスリム名「モハメド・アリ」に改名することを宣言しました。スター選手がブラック・ムスリム運動のスポークスマンとなり、公民権運動の推進と同時に分離主義的傾向の強い発言をしたことは、大きな物議をかもしました。またベトナム戦争にも批判的で、徴兵を拒否したため、タイトル剥奪と活動停止に加え、禁固5年という異常な重刑を宣告されました。デヴィッド・ザイリンは、「スポーツと政治の接点」という独自の視点から、このようなアリの生涯をとらえ直す新著を刊行しました。この番組では、脱政治、非政治の傾向に覆われきっている現在のアメリカのスポーツ界への批判をこめて、モハメド・アリと彼の時代について語っています。(2007年4月9日放送)

デヴィッド・ザイリン(David Zirin): 「企業メディアが推進するスポーツのイメージが、スポーツを金儲けの道具にしている」と批判し、スポーツと政治の関わりに注目した記事によって、高い評価を得ている新進気鋭のスポーツ・コラムニスト。ウェブサイトEdgeofSports.comに毎週コラムを掲載する他、『ネイション』誌などにも寄稿している。最近 Hohammed Ali Handbook (『モハメド・アリ・ハンドブック』)を出版した。


 ここ4年間で、イラクの石油が1日10万−30万バレルの割合で行方不明になっており、汚職や密輸に使われた可能性があることが、アメリカ政府監査局の調べでわかりました。油田に油量計を取り付けるというあたりまえの簡単な作業を、請負会社がなかなか実行しなかったことが原因のひとつだと、企業監視団体CorpWatchのプラタップ・チャタジーは述べています。その請負会社が、ハリバートン社なのです。イラクの石油の利権を外国の多国籍企業にしか売れないようにする法案が、イラク議会で審議されています。この法案は、多国籍石油企業が中心になって起草し、イラク議会に圧力をかけて通そうとしているものです。ボリビアでは最近、多国籍企業の石油利権を再交渉して、国民にも利益が分配される道が開かれましたが、このイラクの法案は、将来的な再交渉の道を残さないものになっています。イラク議会は大反対していますが、この法律を通すことが、米軍のイラク撤退に向けたベンチマークになると、米国政府は圧力をかけているのです。(2007年5月15日放送)

プラタップ・チャタジー (Pratap Chatterjee):調査ジャーナリスト。企業の不祥事を告発するグループCorpWatchの代表。著書に Iraq Inc., A Profitable Occupation (『イラク株式会社、占領は儲かる』)


 もしも、永田町の国会議事堂の傍聴席を、ピンクの服を着た人たちが大勢で占拠したとしたら…。政治家の失言の翌日に、ピンクの服の集団がその政治家の家に押しかけて、失言を題材にした歌の大合唱を始めたら…。そんな活動を実際にワシントンで行なっているグループ、それが「コードピンク」です。名前は、ブッシュ政権の提唱で始まった国土安全保障省が、日々の「テロ危険度」を示すために、緑、水色、黄色、オレンジ、赤というコードを使っていることをもじったもの。イラクへの先制攻撃に反対して2002年11月に100 名ほどの女性が結成し、今では全米に小さなグループがたくさんでき、ピンクを着てそれぞれのアピール活動を行なっています。(2007年4月26日放送)

メディア・ベンジャミン (Medea Benjamin): コードピンクの創始者。キューバとの交流などのオルタナティブ・ツアーを行なっているNGO「グローバル・エクスチェンジ」の創始者でもある。「市民の圧力こそが戦争を終わらせる」と、今日も公聴会に出かけていく。


 今年の連邦税2兆ドルのうち約40%が軍事費に回ると、NGO「全米優先プロジェクト」が発表しました。イラクに費やしている戦費があれば、全米の高校生全員に大学奨学金を支払い、全米の港で湾岸警備費をまかない、そのおつりで国家の赤字を半減することができるとのこと。このセグメントでは、「全米優先プロジェクト」のパメラ・シュワルツが、戦争がいかに税金の無駄遣いかをわかり易く例示し、また戦争に加担しないために納税拒否を行なっているルーズ・ベンが、戦争税拒否運動の今昔を語ります。日本の最近の軍事費を見ると、イラク派兵でかかった費用は昨年4月までで760億円、現在進みつつある米軍再編における日本の費用負担はグアム移転費 7000億円を含んで総額3兆円と言われています。アメリカ政府と協力して「戦争もやむなし」の路線を貫く限り、宇宙防衛構想も含め、制御不可能な勢いで出費が嵩んでいくことでしょう。 (2007年4月12日放送)

パメラ・シュワルツ (Pamela Schwartz): 「全米優先プロジェクト(National Priorities Project)」のコミュニケーション・ディレクター。 ルース・ベン(Ruth Benn): 全米戦争税拒否運動連絡委員会(National War Tax Resistance Coordinating Committee)のコーディネーター。共著に War Tax Resistance: A Guide To Withholding Your Support From The Military (『戦争税 への抵抗:軍事費に加担しない方法』)


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