DVD 第1巻(2007年4-5月)

1.パレスチナ=イスラエルの未来に向けた新しい展望 / 2.理不尽な男」 ラルフ・ネーダー / 3.ブラックウォーター 世界最強の傭兵軍の勃興 / 4.戦争の民営化 ナオミ・クライン / 5.警察による市民集会の監視

☆第1巻付属の小冊子は、ブラックウォーターの字幕を対訳形式にしたものです

 
 
 

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 国際的な人権活動で評価が高い元アメリカ大統領ジミー・カーターは、1978年の中東和平合意をとりもって以来、イスラエル=パレスチナ問題にずっと関心を注いできました。2006年の秋、カーターはイスラエルの占領政策を「アパルトヘイト」という言葉を用いて批判する本を発表し、大きな論争を巻き起こしました。CNNテレビの「ラリー・キング・ライブ」にも出演して、占領の現状を率直に批判するとともに、この問題がいっさい報じられず、議論もされないことが、アメリカの大きな問題だと指摘しました。現実の状況を踏まえた上で、パレスチナ国家を独立させる以外の、別の形の未来を考え始めるときがきているのではないか。ユダヤ人とパレスチナ人が一つの国の中で同等の権利をもって共存する可能性を、「一国家」解決と呼んで追求する人たちが少数ながら出てきています。このトピックスでは、アメリカで発言する二人の代表的なパレスチナ人が、この新しい考え方をめぐって意見を述べます。(2006年11月28日 放送)

ラシード・ハリーディ (Rashid Khalidi) コロンビア大学の中東研究所所長、歴史学者。新著The Iron Cage (鉄の檻)で、パレスチナ国家が誕生しなかったのは何故かを論じています。 アリー・アブニマー (Ali Abunimah) エレクトリック・インティファーダ(パレスチナの抵抗運動サイト)の創設者の一人。 新しい展望を大胆に提唱したOne Country(一国家)という本を出しました。


 民主党と共和党という二つの利権集団が、さほど違わない政策を掲げながら二大政党として君臨し、それ以外の選択肢を有権者から奪うアメリカ。この状況の打開をめざし、第三の道を選択する機会を提供すべく、ラルフ・ネーダーは1996年の大統領選挙に「緑の党」から立候補しました。2000年の選挙では、ネーダー候補は支持者層が重なるゴア陣営から目の敵にされ、第三の候補が立つことは結果的に共和党を利することになると批判されました。同じことは2004年の選挙でも繰り返され、「打倒ブッシュ」をめざす反戦派や左派のあいだに大きなジレンマをひき起こしました。そういうわけで、最近はもっぱら「融通がきかず」「聞き分けのない」困った男と思われがちなネーダーですが、彼の過去のことはアメリカでも若い世代には案外知られていないらしい。この番組は、そういう人たちに向けて、ネーダーという人物が、どのような信念をもち、60年代以降、アメリカの消費者運動を率いて、この国の市民運動の隆盛にどんなに大きく貢献してきたかを教えてくれます。(2007年2月5日放送)

ラルフ・ネーダー(Ralph Nader) 二大政党制を批判し、第三の政党の確立をめざす、市民運動を基盤とする政治家。長年消費者運動にかかわり、公共利益調査グループ (PIRG)をはじめ多数の団体を成立させた。 ヘンリエッタ・マンテル(Henriette Mantel) ドキュメンタリー映画『理不尽な男』の監督・プロデューサー。自らも俳優として演じるコメディ作家。


 イラクでは現在10万人以上の「民間軍事会社」従業員が活動をしています。そのうちの多くの部分が、ひらたくいえば「傭兵」。頼まれればどこにでも傭兵を派遣する民間軍事産業は、9/11以降の政治情勢を背景にして大きく成長を遂げています。ブラックウォーターUSAは、そういった民間軍事会社の最大手、まさに「世界最強の傭兵軍」という呼び名がふさわしい存在といえます。ブラックウォーターが登場してきた背景と、戦争の民営化が巻き起こしている問題を、気鋭の調査ジャーナリスト、ジェレミー・スケイヒルが追いました。ブラックウォーターは、9/11以後の社会情勢を背景に、傭兵を提供する民間軍事業界をリードしてきました。共和党の保守革命と宗教右派の台頭を支援したプリンス一族によって創設されたこの企業は、政権のみならずネオコンや宗教右派と強いつながりを持っています。(2007年3月20日放送)

ジェレミー・スケイヒル(Jeremy Scahill)アメリカの調査報道記者で作家。デモクラシー・ナウ!の通信員で、ナイジェリアで石油を採掘するシェブロン社と現地独裁政権のつながりを報道してエイミー・グッドマンと共に1998年のジョージ・ポーク賞を受賞した。ネーション・インスティチュートのパフィン財団ライティング・フェロー。占領下のイラクを取材し続け、特に民間の軍事請負企業ブラックウォーターに注目し続けてきた。最近出版されたBlackwater: The Rise of the World's Most Powerful Mercenary Army(ブラックウォーター 世界最強の傭兵軍団の勃興)はベストセラーになり、5月10日には国防総省の民間請負契約をめぐる下院公聴会でも証言した。


 『ブランドなんか、いらない』で一躍有名になって以来、一貫して企業中心のグローバリゼーションに対する鋭い批判を提起してきたナオミ・クラインは、戦後のイラク復興ビジネスについても関心を持ちつづけ、ファルージャ事件直前のイラクを現地取材し、イラクという国家そのものをアメリカ企業に切り売りする占領当局の施策を目の当たりにしました。そうした背景を踏まえて、ジェレミー・スケイヒルの新著『ブラックウォーター 世界最強の傭兵軍の勃興』を題材に、戦争の民営化について語ります。戦争の民営化がもたらした最大の罪は、戦争を儲かるビジネスに変えてしまい、平和の推進から経済的なインセンティブを奪ってしまったことだと、クラインは主張します。(2007年4月02日)

ナオミ・クライン(Naomi Klein) カナダのジャーナリスト、作家、活動家。2000年に出版した『ブランドなんか、いらない』は、企業中心のグローバリゼーションへの抵抗運動のマニフェストとしてベストセラーになった。その後も、WTOのシアトル総会(1999年)への抗議運動に始まり世界社会フォーラムへと発展した反グローバリゼーション運動の動きを追い続け、『貧困と不正を生む資本主義を潰せ』を著した。アメリカのイラク侵攻が起こると"戦後の復興"に群がる企業の行動に注目し始め、2004年初めに現地を取材。三番目の著作The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism(『ショック・ドクトリン 戦禍を食い物にする資本主義の台頭』)が近刊予定。


 9/11以降、アメリカではテロ対策の名のもとに政府が市民の情報を収集し、行動を監視するシステムが張り巡らされています。ニューヨークではCIA出身のデイヴィッド・コーエンが警察の情報担当副本部長に就任して以来、一般市民のさまざまな集会をハイテク機器を駆使して監視しています。政治や宗教の集会は憲法が保障する権利であるにもかかわらず、「テロ対策」では一般市民の合法的活動にも犯罪捜査の手法が向けられます。このような警察による人権侵害をめぐって、2007年2月15日にニューヨークの連邦地裁が画期的な判断を下しました。9/11の後、ニューヨーク市警の要請に応じて一時は強引な捜査を容認したチャールズ・へイト判事が、警察は犯罪性のない市民の集会を監視してはならず、監視する場合には犯罪性の兆候を指摘して令状をとることが必要、とする判断を下しました。1980年代に成立した「ハンチュー合意」のガイドラインが、改めて確認されたのです。(2007年2月19日)

マーティン・ストーラー(Martin Stolar) は長年ハンチュー訴訟にかかわってきた弁護士です。今回の判決の意義と、その背景について、たいへんに分かりやすく説明してくれます。 アイリーン・クランシー(Eileen Clancy)は、警察による市民のビデオ撮影、監視活動を告発する市民団体I-Witness Video(アイ・ウィットネス・ヴィデオ)のメンバーです。2004年の共和党全国大会では、期間中に現政権の政策に抗議する人々がさまざまな集会を開きました。抗議する人々を警察がいかに高度な技術を駆使してビデオに納めていたかが、I-Witness Video の収集した映像記録によって具体的に明らかにされます。