ノーベル賞受賞の気候変動政府間パネル議長が「科学に耳を傾けよ」とオバマに訴える

2011/12/7(Wed)
記事番号: 
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世界屈指の気候科学専門家ラジェンドラ・パチャウリが、ダーバンの国連気候変動会議の交渉者たちは科学に十分に注意を払っていないとして批判しています。パチャウリは2007年にアル・ゴアとともにノーベル平和賞を受賞した気候変動政府間パネル(IPCC)の議長です。「私たちが為してきたのは、過去65万年以上にわたって大気中にたまってきたよりもはるかに大量の温室効果ガスを大気中に放出したことです」とパチャウリは言います。「結果として20世紀中に気温は平均で摂氏で0.74度上昇し、海水面は17センチ上がり、前述のように人間の健康、農業、生態系のすべてにおいて悪影響をもたらしました……IPCCの第4回評価書は、もし私たちが気温上昇を2度程度(摂氏で2~2.4度)に抑えたいと望み、しかもそれを最低限の費用でやりたいと言うのであれば、温室効果ガスは2015年までに排出のピークを迎えていなければならないと明言しています。なのにいま私たちの話していることは2020年のことです。それはつまり世界は排出ガスを減らすためにもっと巨額の費用が必要になるということですし、同時にさらに深刻な気候変動の影響を被ることになるということでもあります」。会議で米国の果たす役割について尋ねられて、パチャウリは次のように答えました。「オバマ大統領にも科学に耳を傾けるようにお願いしたい。彼にはジョン・ホルドレンという卓越した科学顧問がいるのですから。大統領は再選されたらすぐにジョンに科学者会議を主催させたらいいかもしれません。もし再選されたらの話ですが。そして米国の政策を決定するのです。それは取得可能な科学的証拠を基本にした、世界中のすべての国の指針になるような政策であるべきです。でも実際には、ここ(COP17)ではだれも科学なんかに関心を払っていないのが正直なところです」。

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