イーライ・パリサーの新著『閉じこもるインターネットーーグーグル、パーソナライズ、民主主義』

2011/5/27(Fri)
記事番号: 
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インターネット世界はだんだんと、同質の情報だけを反響させるエコーチェンバーになってきています。どのサイトも、個々のビューワの嗜好を探り出してそれに合わせた情報を組み合わせ、提供してくれます。たとえばだれかが「エジプト」という単語を検索すると、ある人にはあの民衆革命の最新ニュースが掲示されるのですが、他の人にはエジプトの観光情報しか出てこなかったりします。人気上位50のウェブサイトでは、だれかがそこにアクセスするたびに平均で64個の個人情報を収集しています。そうして認知された嗜好を基にサイトのコンテンツをその人用にカスタムデザインして提供するわけです。このオンラインの情報フィルターは民主制度の未来にどんな影響を与えるのでしょう? (『閉じこもるインターネットーーグーグル、パーソナライズ、民主主義』)の著者イーライ・パリサーに話を聞きます。「例えばアフガニスタン戦争のニュース。ニュース・サイトを運営している人たちと話をすると、アフガン戦争関連のニュースはあまりアクセスがよくないという話をするはずです。クリックされないんですね。みんな、そういうのにあまり興味がない。にもかかわらずそれはこの国が直面している最も重要な問題の1つであることは間違いない」とパリサーは言います。「ところがこれはそうした情報フィルターをぜったいに通過できないんですね。とくにフェイスブックではそれが問題です。というのもフェイスブック上でやり取りされる情報は、あの「like(いいね!)」ボタンを通して決まるんです。で、この「いいね!」ボタンというのは、対象によってすんなり押せるときと、悩むときがある。「マラソンを走ったよ」とか「ほんとにすごいケーキを焼いた」とかには「いいね!」はすぐに押せるけれど、「アフガニスタンの戦争が10年目に突入」には、「いいね!」とやっていいのかどうか、ほんとに迷ってしまうから」。
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